住宅ローンで知っておきたい「頭金なし」の仕組み

目次

  1. 4人に1人は、「頭金なし」でマイホームを購入していた!
  2. 頭金なしを「後押し」する3つの状況とは?
  3. 史上空前の「低金利」
  4. 「住宅ローン控除」の利用
  5. 「オーバーローン」の登場
  6. 「頭金を貯める」か「喜びの時間を増やす」か?
  7. 「生活の変化を楽しむ」ための現金は、手元に残しておく
  8. 頭金なしで、審査が通りやすく、全額借入れる方法
  9. 頭金がない場合、手付金はどうなる?
  10. まとめ

4人に1人は、「頭金なし」でマイホームを購入していた!

マイホームの購入を真剣に考えたときに、はじめに思い浮かぶ悩みは、みなさん「頭金」のことではないでしょうか。十分な貯金がないと、住宅ローンは組めないというイメージがあります。頭金を準備しておくと、その金額の分だけ、「住宅ローンの返済額」や「金利額」は少なくて済みます。しかし、現金で用意しなければならないため、目標額に到達するまで、マイホームの購入は「先延ばしにしなければならない」という残念さがあるでしょう。

これまで、頭金は「できるだけ、物件価格の2割は用意しましょう」と言われてきました。それは、従来の住宅ローンでは、物件価格の約8~9割までしか借入れが受けられない状況にあったからです。ところが最近、「頭金なしの住宅ローン」を利用する人が増えています。頭金なしで住宅ローンを組む人は、住宅購入者全体の約26%にも達しているようです。つまり、4人に1人以上は、頭金0円で不動売買契約をしていることになります。

 

 

そこには、各金融機関の激しい商品開発競争が背景にあります。ここ数年で、顧客のさまざまなニーズに応える新しい商品が登場し、物件格の全額を住宅ローンとして融資する金融機関が増えています。住宅金融支援機構が提供する「フラット35」でも、2014年度から、頭金なしの住宅ローン商品を、およそ2年ぶりに復活させています。

 

頭金なしを「後押し」する3つの状況とは?

お金に対する考え方が多用化している現代では、マイホームの購入に向けて、頭金を必死に貯めるというスタイルが、必ずしも賢いプランとはいえない状況です。もしも、3000万円の住宅を購入しようとする場合、頭金2割で600万円、さらに準備費(引越し代、家具・家電の買い替え、インテリア代など)と、諸費用(手数料、保険料、保証料など)で160〜200万円は見積ると、約800万円の自己資金を準備しておくことになるでしょう。

 

 

今の家賃を支払いながら、800万円のお金を貯めるのは簡単ではありません。毎年100万円ずつ貯めるとしても、達成には8年かかります。そのあいだに、家賃の支払いはどれほどの額になるでしょう。400〜500万円の家賃負担であれば、「頭金なしで住宅ローンを組む」という選択肢を検討してよいかもしれません。以前であれば、フィナンシャルプランナーから、「頭金なしはリスクが高い」という意見がだいぶありました。しかし、現在は次の3つの状況が示すとおり、事態はがらりと変わってきています。

(1)史上空前の「低金利」

(2)「住宅ローン控除」の利用

(3)「オーバーローン」の登場

 

史上空前の「低金利」

世界的なデフレが続く状況に加えて、緊急経済対策や日銀のマイナス金利導入などよって、住宅ローンの金利は、過去最大の「低金利」が続いています。フラット35では、金利は過去最低を更新しています。その他の金融機関でも、提供する住宅ローンは、「空前の低金利」です。

これほどの低金利では、総返済額での「利子の割合」が小さいため、頭金を入れる効果が弱くなっています。それに「頭金2割がないと借り入れできない」状況はありません。ローン審査においても、貯蓄額が影響するケースは減ってきています。頭金が用意できなくても、「資金計画」と「将来展望」がしっかりしていれば、マイホームを購入できる機会が増えています。これから住宅ローンを組む人は「いま」が好のです。過去にないほどの低金利ですので、全期間固定でも金利はさほど高くありません。

「住宅ローン控除」の利用

住宅ローンを借りると、10年のあいだ、借入残高の1%が所得税から控除され、確定申告で戻ってくる「住宅ローン控除」という制度があります。最大控除額は400万円(40万描け × 10年)です。これは、10年以上の住宅ローンを抱える人には、「所得税と住民税をオマケしましょう」という嬉しい仕組みです。正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。

 

 

住宅ローン控除は、借入額が大きいほど控除額も大きくなります。すると、現在の住宅ローン金利は1%を下回る商品も多いため、控除限度額の4000万円まで借り入れた方がお得になります。この制度では、(1)住居購入日から6ヶ月以内に入居している、(2)借入した人の年間所得額が、3000万円以下である、(3)住宅ローンの返済期間が10年以上である、(4)登記簿に記載されている床面積が50㎡以上である、(5)床面積の50%以上が居住用である、などといった条件を満たせば、控除を受けることができます。住宅を購入した翌年の確定申告から住宅ローン控除を申請します。

 

「オーバーローン」の登場

住宅購入には、頭期のほかにも、(1)融資事務手数料、(2)団体信用生命保険料、(3)印紙代、(4)登記費用、(5)保証料といった「諸費用」が現金で必要です。一般的に物件価格の約2~7%が目安です。物件価格3000万円で諸費用が4%かかるケースでは、120万円の現金を用意しなければなりません。そこで、諸費用まで借入れできるオーバーローン」を提供する金融機関が登場しています。

オーバーローンとは、「物件10 諸費用」を住宅ローンで組むことです。「フルローン」と呼ばれることもあります。オーバーローンでは、物件価格はもちろん、金融機関によっては、手数料や登記費用だけでなく、引越し代などの準備費用まで、すべての費用を借り入れることができます。手持ち資金がなくても、住宅ローンを借りやすい時代になっています。

 

「頭金を貯める」か「喜びの時間を増やす」か?

頭金なしで住宅ローンを利用するメリットの1つに「時間を買う」という考え方があります。仮に、3年間で300万円の頭金を貯めるとして、その3年はあなたと家族にとってどのような期間でしょうか。世帯を持って新しい生活に夢を膨らませる3年かもしれないですし、家族が増えて、小さな子どもの成長を見つめる楽しさで夢中になる3年かもしれません。

しかし、その3年のあいだに、金利や物件価格が上昇したら、頭金の意味はかなりなくなってしまうかもしれません。いま住んでいる賃貸物件の家賃が毎月6万円であれば、3年間で216万円の支払いが発生します。この金額をどう見るかです。家賃を支払いながら頭金を用意して住宅を購入したとすると、返済期間は数年短くなり、総返済額も抑えられます。

一方、頭金なしで住宅ローンを組むと、返済期間は長くなり、その分だけ金利は重なり、総返済額は増えることになります。しかし、賃貸物件に支払うはずの額は手元に残り、そして何より、家族の喜びをマイホームで過ごす時間は増える(長くなる)ことになります。つまり、総返済で増えた金額を使って「時間を買う」という発想です。それは、頑張って頭金を貯める時間を、「家族の喜びの時間」に変えることでもあります。

「生活の変化を楽しむ」ための現金は、手元に残しておく

頭金なしの住宅ローンを利用している人たちは、「貯蓄額がまったくない」、「お金が貯まっていない」という理由ばかりではありません。むしろ、お金があっても「あえて、頭金を支わずに住宅ローンを組もう」と積極的なマネープランに沿った姿勢の人が目立ちます。頭金をなしにして住宅を購入するメリットの2つめは、「マネープランに幅ができる」ことです。

マイホームを購入しようと決断するタイミングは、人生のさまざまな節目に行われるものです。子どもが生まれる、子どもが学校に入る、子育ての環境を変える、生活スタイルを見直す、新しい仕事に挑戦する、など、ときには思わぬサプライズによって、住宅購入の機会がやって来ることもあるでしょう。そして、そのタイミングは産休・育休・時短勤務など、家庭の収支に影響があらわれる時期とも重なることが多々あります。

 

 

そこで、頭金を支払わずに、預貯金を手元に残しておくことで、ライフプランの変更にも柔軟に対応しながら、人生の変化を楽しむことができるでしょう。貯蓄をすべて住宅購入に使ったあとに、現金が必要になって、教育ローンや多目的ローン、カードローンなどでお金を借りては、住宅ローンよりも高い金利を支払うことになります。また、将来的に残しておいた資金で、繰り上げ返済をするというプランも選択できるでしょう。

住宅ローンの返済総額を減らして将来に余裕を与えるか、それとも、ときどきで訪れる「人生の変化を楽しむ」ことを選択するのか、どちらが正解というわけでもありません。それだけ、お金に対する考え方が細分化している時代なのでしょう。

 

頭金なしで、審査が通りやすく、全額借入れる方法

必要な住宅資金を全額借入れる(フルローン)場合、多くの人は「フラット35」を利用しています。その理由は、(1)借入基準が明確である、(2)民間の金融機関にくらべて審が通りやすい、ことが挙げられます。しかし、フラット35は、融資比率が物件価格の9割を超えると、住宅ローン金利が跳ね上がるのが難点です。すると、総返済額が増加し、毎月の返済負担も大きくなります。

そこで、一部の金融機関では、フラット35特別な住宅ローン商品」を組み合わせて、フルローンでの金利アップを防ぐためのプランを用意しています。審査もそれほど厳しくありません。次のような方法で、フルローンでの借入れを実現します。

(1)借入額の9割をフラット35で借り入れる

(2)フラット35では「融資比率9割以下」の金利で適用を受ける

(3)残りの1割は、金融機関が提供する「特別な住宅ローン」から借入れる

特別な住宅ローンは、各金融機関によって内容は異なります。また、ネット銀行の多くは、印紙代、手数料、登録免許税、司法書士報酬、物件検査手数料などの諸費用を、借入金額に含めることができる特徴を持っています。

 

 

フラット35と併用してフルローンを実現できる金融機関は増えています。主な銀行は次のとおりです。

みずほ銀行·········· フラット35と組み合わせた「フラット35パッケージローン」で可能

りそな銀行·········· フラット35と組み合わせた「すまい・るパッケージ」で可能

イオン銀行·········· フラット35と併用の「イオンプラス」で可能

アルヒ·············· ARUHIフラット35とARUHIフラットαの組み合わせで可能。低金利

住信SBIネット銀行·· フラット35と併用の「ミスターパッケージローン」で可能。低金利

楽天銀行············ フラット35と合わせて全額融資可能。保証料不要

優良住宅ローン······ フラット35と併用の「プラスワン」で可能。保証料不要

 

頭金がない場合、手付金はどうなる?

頭金なしで住宅ローンを10割借入れる場合でも、「手付金」は必要です。契約成立を示す証拠の意味合いがあるからです。金額は、売買代金の約5%~10%が一般的です。売主が宅地建物取引業者(不動産会社)では、売買代金の20%を超えて手付金を請求することはできません。

手付金は、その性質上、契約締結時のタイミングで売主に一旦預けて、売買代金を全額支払うときに、売主から返還されます。住宅ローンを組んだ場合、金融機関から手付金を差し引いた額が売主に支払われます。そして、頭金なしで住宅ローンを組んだ場合、物件価格の全額(10割)が金融機関から融資されるため、手付金は返ってくることになります。

また、頭金と諸経費が住宅ローンで借入れることができた場合でも、団体信用生命保険料、不動産仲介手数料、水道加入負担金といった費用を準備することがあります。

まとめ

住宅購入者の4人に1人は、フラット35と民間銀行の住宅ローンを上手に利用して、「頭金なし」でマイホームを購入しています。以前なら、リスクが高いといわれたプランですが、空前の低金利時代で、多くの金融機関では、住宅ローン金利が1%を下回り、フルローンには絶好の機会と考えられます。

さらに、「住宅ローン控除」での税金控除や、諸費用を借入れることができる「オーバーローン」など、今は手持ち資金がなくても、住宅ローンを借りやすい時期です。そのため、あえて頭金を入れない、というプランを持つ人が増えています。ライフプランやマネープランの価値観が細分化され、生き方が多様化している時代のあらわれといえるでしょう。

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